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金属材料の硬さについて【金属のいろいろ】

目次

硬さって?

地球で最もかたい物質12選

硬さとは、材料が異物によって変形や傷を与えられようとする時の、材料の変形しにくさ、材料の傷つきにくさである。

金属の性能を語る上でかかせないのが硬さであるが、硬さは重要ではありますが金属の性質を評価する上での1つのパラメータにすぎません。

硬さは大事な機械的特性

硬さ以外にも耐熱性、耐食性や耐薬品性、金属疲労などの疲労強度等、さまざまなパラメータで金属を評価します。あるパラメータに特化した材料よりもバランスのとれた材料の方が使い勝手はいいと思います。

硬さ以外にも重要な機械的特性

金属の強さという面では硬度以外には引っ張り強さ等がありますが今回は硬度について説明していきます。

硬さはどうやって調べるの?

硬度を評価する試験にはさまざまな種類があり、ビッカース硬さ(HV)、ブリネル硬さ(HB)、ロックウェル硬さ(HRC)、ショア硬さ(HS)等があります。

■ビッカース硬さ(HV)

押込式の硬さ試験方法の一つで、ダイヤモンド圧子を使って測定し、HVで表記されます。使われる圧子については、JIS B 7725に規定されています。

計測する対象に応じて荷重を変えることができるため汎用性の高さに優れ、あらゆる金属の材料に対応できます。

ビッカース硬さ試験動画

■ブリネル硬さ(HB)

押込方式の硬さ試験方法の一つで、鋼球や超硬球の圧子を使って、試験対象にくぼみをつけたときの荷重を、残っているくぼみの表面積で割った値で表記されます。

使った圧子の種類が鉄・鋼・超硬合金の場合、それぞれについて詳しくHB・HBS・HBWと表記しています。

ブリネル硬さ試験動画

■ロックウェル硬さ(HRC)

みなさんがよく見る硬さの表記ですね。日本で最もよく使われる押込式の硬さの試験方法で、幅広い範囲の測定ができます。

対象に押し込む「圧子」と荷重の組み合わせを選ぶことができるため、様々な硬度の材料に対応できます。圧子には、ダイヤモンド圧子と鋼や超硬のものがあります。

測定方法としては、始めに基準となる荷重をかけて、次に試験荷重をかけ、それによって生じたくぼみの深さを硬度に換算して表記しています。適用する圧子と試験荷重のパターンのことを「スケール」と呼び、JISでは9スケールと、さらに11種類のスケールが記載されています。JIS G 0202にロックウェル硬さの試験方法についての規定があります。

ロックウェル硬さ試験動画

■ショア硬さ(HS)

硬さの試験方法の一つで、ある一定の高さから、硬さを計測する対象にダイヤモンドハンマーを落下させて跳ね上がった高さを硬さの数値に置き換える試験方法です。

JIS B 7727にショア硬さ試験機の規格があり、HSで表記します。ゴム等の軟質材の硬さを計測するときに用いられることが多い試験方法です。

硬さを比較してみたよ!!

硬さの規格を比較してみました。参考にしてください。

(HRC)
ロックウェル
Cスケール
硬さ
(HV)
ビッカース
硬さ
ブリネル硬さ(HB)
10mm球
荷重3000kgf
ロックウェル硬さ (HS)
ショア硬さ
標準球 タングステン
カーバイド球
(HRA)
Aスケール
荷重60kgf
ダイヤモンド
円錐圧子
(HRB)
Bスケール
荷重100kgf
径1.6mm
(1/16in)球
(HRD)
Dスケール
荷重100kgf
ダイヤモンド
円錐圧子
68 940 85.6 76.9 97
67 900 85 76.1 95
66 865 84.5 75.4 92
65 832 (739) 83.9 74.5 91
64 800 (722) 83.4 73.8 88
63 772 (705) 82.8 73 87
62 746 (688) 82.3 72.2 85
61 720 (670) 81.8 71.5 83
60 697 (654) 81.2 70.7 81
59 674 (634) 80.7 69.9 80
58 653 615 80.1 69.2 78
57 633 595 79.6 68.5 76
56 613 577 79 67.7 75
55 595 560 78.5 66.9 74
54 577 543 78 66.1 72
53 560 525 77.4 65.4 71
52 544 (500) 512 76.8 64.6 69
51 528 (487) 496 76.3 63.8 68
50 513 (475) 481 75.9 63.1 67
49 498 (464) 469 75.2 62.1 66
48 484 451 455 74.7 61.4 64
47 471 442 443 74.1 60.8 63
46 458 432 432 73.6 60 62
45 446 421 421 73.1 59.2 60
44 434 409 409 72.5 58.5 58
43 423 400 400 72 57.7 57
42 412 390 390 71.5 56.9 56
41 402 381 381 70.9 56.2 55
40 392 371 371 70.4 55.4 54
39 382 362 362 69.9 54.6 52
38 372 353 353 69.4 53.8 51
37 363 344 344 68.9 53.1 50
36 354 336 336 68.4 (109.0) 52.3 49
35 345 327 327 67.9 (108.5) 51.5 48
34 336 319 319 67.4 (108.0) 50.8 47
33 327 311 311 66.8 (107.5) 50 46
32 318 301 301 66.3 (107.0) 49.2 44
31 310 294 294 65.8 (106.0) 48.4 43
30 302 286 286 65.3 (105.5) 47.7 42
29 294 279 279 64.7 (104.5) 47 41
28 286 271 271 64.3 (104.0) 46.1 41
27 279 264 264 63.8 (103.0) 45.2 40
26 272 258 258 63.3 (102.5) 44.6 38
25 266 253 253 62.8 (101.5) 43.8 38
24 260 247 247 62.4 (101.0) 43.1 37
23 254 243 243 62 100 42.1 36
22 248 237 237 61.5 99 41.6 35
21 243 231 231 61 98.5 40.9 35
20 238 226 226 60.5 97.8 40.1 34
(18) 230 219 219 96.7 33
(16) 222 212 212 95.5 32
(14) 213 203 203 93.9 31
(12) 204 194 194 92.3 29
(10) 196 187 187 90.7 28
(8) 188 179 179 89.5 27
(6) 180 171 171 87.1 26
(4) 173 165 165 85.5 25
(2) 166 158 158 83.5 24
(0) 160 152 152 81.7 24

硬さの換算表(参考資料)のダウンロードはこちらから↓↓↓

硬さは重要ではありますが金属の性質を評価する上での1つのパラメータにすぎません。しかし、材料選定の際には直感的にも比較しやすいかと思いますので、機械的特性について十分に理解し材料を選定して下さい。

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