アルマイト処理ってなに?
アルマイト(陽極酸化処理)とは、アルミニウムを陽極(+極)で電解処理して人工的に酸化皮膜を生成させる表面処理のことです。アルミニウムは空気中の酸素と結合し表面に薄い酸化被膜を形成するため鉄より錆びにくい材料としてさまざまな分野で活用されています。しかし、比較的やわらかい材料であるため、表面に傷がつきやすかったり、過酷な環境では腐食が進みやすくなります。それを防ぐために人工的に酸化処理を行い、厚く丈夫な酸化被膜を形成する処理のことをアルマイトといいます。
アルマイトとメッキは違う?
よく似た処理にメッキというものがありますが、アルマイトとメッキにおいては、電気分解をおこなう点については共通しています。めっきはアルマイトと違い表面を皮膜で覆いかぶさります。素材表面に新たにメッキ層ができるので素材表面を酸化させ酸化被膜を形成するアルマイト処理とはまったく違うものになります。
メッキでは電気分解の陽極ではなく陰極にメッキされる金属を使用します。よってまったく違う処理なのです。
アルマイトの構造ってどうなっているの?
アルミニウムは酸素と結びつきやすく、空気に触れると薄い酸化皮膜を作ります。この自然に作られる皮膜で保護されているので、アルミニウムは一般的に錆びにくい、いわゆる耐食性が良い材料と言われているのです。
しかし、この皮膜は非常に薄く、環境によっては化学反応で腐食してしまいます。そのため表面を保護する表面処理であるアルマイト(陽極酸化処理)が必要となります。
アルミニウムは耐食性の良い材料だが、、、
アルマイト(陽極酸化処理)はアルミニウム製品を陽極にして、電解液(硫酸、しゅう酸、クロム酸など)の浴中で電解すると、陽極に発生する酸素のためにアルミニウムの表面に、電気絶縁性が高く耐食性、耐摩耗性の酸化膜が生じます。下図はアルマイトの構造です。無数の孔ができます。

アルマイトの皮膜の厚さは、電解液中で通電した際の単位面積あたりの総電流量によっておおよそ決まります。アルマイトは図のような構造をしており、一つ一つの微細な孔の直径は数十ナノメートルになります。
微細孔の 長さは皮膜の厚さとほぼ一致しますが、皮膜底部(アルミニウム素地側)には層が存在し、貫通はしていません。
アルマイトの剥離について
一般的に用いられる方法としては苛性ソーダ溶液に浸漬して剥離する方法です。アルマイト皮膜は、苛性ソーダ溶液を50℃ぐらいにして浸漬することで剥離が可能です。どのような形状でも、苛性ソーダ溶液にアルマイト皮膜が触れることができれば剥離することができます。
ただ、アルマイト皮膜はアルミニウム素材に浸透するように皮膜を形成しているので、アルマイト皮膜を剥離するたびにアルミニウム素材も痩せていきます。また、皮膜の剥離を繰り返すと素材が荒れていき、素材の表面状態は悪化していくことになりますので注意が必要です。
硬質アルマイトとは?
アルマイトの膜厚は通常10マイクロメートル程度ですが、より膜厚を増した硬質アルマイトというものがあります。その膜厚は50マイクロメートルにも達し、その硬度は鉄鋼を超える400HV以上にもなります。
そのため、硬質アルマイト処理を施したアルミニウム製品は軽くて硬いため、耐摩耗性を必要とする自動車部品や航空機関連部品などに広く用いられています。
アルミニウムを彩るカラーアルマイト

また、アルマイトの中にはカラーアルマイトというものもあります。染料によってさまざまな色に仕上げることができます。
アルマイトにより出来た孔の中に染料を浸透させ、染料の入った穴に蓋をする処理により、酸化皮膜が取れない限り剥げない染色なのです。
アルミニウムの特徴を最大限に活かす!
アルマイトは錆びにくくするだけでなく、見た目もキレイに、さらに硬くすることもできまる素晴らしい技術です。アルミニウムの特徴を最大限に活かし、そしてより高機能に。是非、アルマイト(陽極酸化処理)の良さを実感してください。