アルミニウム合金の化学成分について

2022年3月4日

アルミニウムってひとつじゃないの？

ひとことでアルミニウムといってもさまざまな種類があります。アルミが使われる工業製品は数えきれないほどあり、またアルミ缶など一般の方に流通している製品たくさんあり、その使用用途によってたくさんの種類のアルミニウム合金が存在します。

今回はその種類を成分の違いから説明していきます。成分の違いによって持っている特性も大きく変わってきます。

さまざまな種類のアルミニウム合金

A1000系

1000番台は成分表のとおりAlが99％以上の純アルミですね。純度の違いと化合物の違いで規格がわかれています。アルミの純度が高いので加工しやすいですね。

耐食性、熱伝導性、電気伝導性は良いのはもちろんですが加工性も良いです。加工性が良い反面、強度は若干不安を感じることが多いと思います。

A2000系

こちらはAl-Cu系合金になります。ジュラルミンって聞いたことありますよね？それがこの2000系のアルミニウムになります。A2017がジュラルミンでA2024が超ジュラルミンになります。超ジュラルミンってなに？？って思いますよね？まあ単純にジュラルミンより硬い材料ってことです。いろいろあって面白いですよね。

2000番台はAl-Cu系というだけあって大きくはCuの含有量によって分類されています。しかし、その他化合物の影響も大きいのでCu以外の含有量もチェックする必要があります。
Cu、Mgの含有量が増え、強度も増しています。さすがジュラルミンですね。

A3000系

Al-Mn系合金です。特徴は1000系を少し強度を強くした感じですかね。用途としては食糧・飲料缶で使われたり、船舶・車両等にも使用されているようです。

3000番台は成分としては大きな特徴はありませんね。1000番台に比べて少し化合物が多いという感じですね。その組成どおり1000番台に比べ若干強度が増しています。

A4000系

Al-Si系合金。こちらは耐摩耗性が良いです。ピストンやシリンダーに使用されます。使用される場面は限定的ですね。

4000番台はSiの含有量が他と比べて圧倒的に多いのが特徴です。耐摩耗性に優れている材料らしい組成ですね。こうやってみると含まれる成分によってしっかりと特徴が出ていますよね。

A5000系

Al-Mg系合金。なんでもできる5000系ですね。万能型のアルミニウムで使用される機会も非常に多いですね。材料選びに困ったら5000系にすればなんとかなっちゃうことが多いですね。

5000番台はMgの含有量が多いですね。その中でも全体的にバランス良く配合されています。さまざまなところで使用されるだけありますね。

A6000系

Al-Mg-Si系合金。耐食性に優れた材料で強度も良いです。建築用サッシや車両・船舶等にも使用されています。

6000番台はAl-Mg-Si系と言われていますが、極端にMgとSiの含有量が多いわけではありません。MgとSiが多めですが全体的にバランス良く配合されています。

A7000系

Al-Zn-Mg系合金。高級アルミニウムですね。まさにアルミニウムの王様。超々ジュラルミンといわれています。超々ジュラミン！？って名前なんてなんでもアリなんですよ！アルミニウムの中で最強の強度を誇り、航空機等に軽くて強い材料として使用され活躍しています。この材料は鋼材に匹敵する強度があるため、金型にも使用されます。

7000番台はZnの含有量が多いですね。Mgも多く、この2つが特徴ですね。このあたりは強度に影響していますね。

アルミニウム合金の化学成分

	種類	熱処理	化学成分（％）
	種類	熱処理	Si	Fe	Cu	Mn	Mg	Cr	Zn	Ti	その他	Al
1000番純アルミ系	1N99		0.006	0.004	0.008	–	–	–	–	–	–	99.99以上
	1N90		0.05	0.03	0.05	–	–	–	–	–	–	99.90以上
	1080		0.15	0.15	0.03	0.02	0.02	–	0.03	0.03	Ga0.03 V0.05	99.80以上
	1070		0.2	0.25	0.04	0.03	0.03	–	0.04	0.03	V0.05	99.70以上
	1060		0.25	0.35	0.05	0.03	0.03	–	0.05	0.03	V0.05	99.60以上
	1050		0.25	0.4	0.05	0.05	0.05	–	0.05	0.03	V0.05	99.50以上
	1100		Si+Fe 0.95	–	0.05～0.20	0.05	–	–	0.1	–	–	99.00以上
	1200		Si+Fe 1.00	–	0.05	0.05	–	–	0.1	0.05	–	99.00以上
	1230		Si+Fe 0.70	–	0.1	0.05	0.05	–	0.1	0.03	V0.05	99.30以上
2000番 Al-Cu系	2014	〇	0.5～1.2	0.7	3.9～5.0	0.4～1.2	0.2～0.8	0.1	0.25	0.15	–	残部
	2017	〇	0.2～0.8	0.7	3.5～4.5	0.4～1.0	0.4～0.8	0.1	0.25	0.15	–	残部
	2024	〇	0.5	0.5	3.8～4.9	0.3～0.9	1.2～1.8	0.1	0.25	0.15	–	残部
	2117	〇	0.8	0.7	2.2～3.0	0.2	0.2～0.5	0.1	0.25	–	–	残部
3000番 Al-Mn系	3003		0.6	0.7	0.05～0.20	1.0～1.5	–	–	0.1	–	–	残部
	3004		0.3	0.7	0.25	1.0～1.5	0.8～1.3	–	0.25	–	–	残部
	3005		0.6	0.7	0.3	1.0～1.5	0.2～0.6	0.1	0.25	0.1	–	残部
	3103		0.5	0.7	0.1	0.9～1.5	0.3	0.1	0.2	–	Zr+Ti 0.10	残部
	3105		0.6	0.7	0.3	0.3～0.8	0.2～0.8	0.2	0.4	0.1	–	残部
4000番 Al-Si系	4032		11.0～13.5	1.0	0.5～1.3	–	0.8～1.3	0.1	0.25	–	Ni 0.50～1.3	残部
	4043		4.5～6.0	0.8	0.3	0.05	0.05	–	0.1	0.2	Be 0.008	残部
	4045		9.0～11.0	0.8	0.3	0.05	0.05	–	0.1	0.2		残部
	4047		11.0～13.0	0.8	0.3	0.15	0.1	–	0.2	–	Be 0.008	残部
5000番 Al-Mg系	5005		0.3	0.7	0.2	0.2	0.5～1.1	0.1	0.25	–	–	残部
	5052		0.25	0.4	0.1	0.1	2.2～2.8	0.15～0.35	0.1	–	–	残部
	5056		0.3	0.4	0.1	0.05～0.2	4.5～5.6	0.05～0.2	0.1	–	–	残部
	5082		0.2	0.35	0.15	0.15	4.0～5.0	0.15	0.25	0.1	–	残部
	5083		0.4	0.4	0.1	0.4～1.0	4.0～4.9	0.05～0.25	0.25	0.15	–	残部
	5086		0.4	0.5	0.1	0.2～0.7	3.5～4.5	0.05～0.25	0.25	0.15	–	残部
	5154		0.25	0.4	0.1	0.1	3.1～3.9	0.15～0.35	0.2	0.2	–	残部
	5182		0.2	0.35	0.15	0.2～0.5	4.0～5.0	0.1	0.25	0.1	–	残部
	5183		0.4	0.4	0.1	0.5～1.0	4.3～5.2	0.05～0.25	0.25	0.15	Be 0.008	残部
	5351		0.08	0.1	0.1	0.1	1.6～2.2	–	0.05	–	V0.05	残部
	5356		0.25	0.4	0.1	0.05～0.2	4.5～5.5	0.05～0.2	0.1	0.06～0.2	Be 0.008	残部
	5454		0.25	0.4	0.1	0.5～1.0	2.4～3.0	0.05～0.2	0.25	0.2	–	残部
	5554		0.25	0.4	0.1	0.5～1.0	2.4～3.0	0.05～0.2	0.25	0.05～0.2	Be 0.008	残部
	5N01		0.15	0.25	0.2	0.2	0.2～0.6	–	0.03	–	–	残部
	5N02		0.4	0.4	0.1	0.3～1.0	3.0～4.0	0.5	0.1	0.2	–	残部
6000番 Al-Mg-Si系	6003	〇	0.35～1.0	0.6	0.1	0.8	0.8～1.5	0.35	0.2	0.1	–	残部
	6056	〇	0.7～1.3	0.5	0.5～1.1	0.4～1.0	0.6～1.2	0.25	0.1～0.7	–	Ti+Zr 0.20	残部
	6061	〇	0.4～0.8	0.7	0.15～0.4	0.15	0.8～1.2	0.04～0.35	0.25	0.15	–	残部
	6063	〇	0.2～0.6	0.35	0.1	0.1	0.45～0.9	0.1	0.1	0.1	–	残部
	6082	〇	0.7～1.3	0.5	0.1	0.4～1.0	0.6～1.2	0.25	0.2	0.1	–	残部
	6101	〇	0.3～0.7	0.5	0.1	0.03	0.35～0.8	0.03	0.1	–	B 0.06	残部
	6110	〇	0.7～1.5	0.8	0.2～0.7	0.2～0.7	0.5～1.1	0.04～0.25	0.3	0.15	–	残部
	6151	〇	0.6～1.2	1.0	0.35	0.2	0.45～0.8	0.15～0.35	0.25	0.15	–	残部
	6351	〇	0.7～1.3	0.5	0.1	0.4～0.8	0.4～0.8	–	0.2	0.2	–	残部
	6N01	〇	0.4～0.9	0.35	0.35	0.5	0.4～0.8	0.3	0.25	0.1	Mn+Cr 0.50	残部
6000番 Al-Zn-Mg系	7003	〇	0.3	0.35	0.2	0.3	0.5～1.0	0.2	5.0～6.5	0.2	Zr 0.05～0.25	残部
	7005	〇	0.35	0.4	0.1	0.2～0.7	1.0～1.8	0.06～0.2	4.0～5.0	0.01～0.06	Zr 0.08～0.2	残部
	7050	〇	0.12	0.15	2.0～2.6	0.1	1.9～2.6	0.04	5.7～6.7	0.06	Zr 0.08～0.15	残部
	7072	〇	Si+Fe 0.7	–	0.1	0.1	0.1	–	0.8～1.3	–	–	残部
	7075	〇	0.4	0.5	1.2～2.0	0.3	2.1～2.9	0.18～0.28	5.1～6.1	0.2	–	残部
	7178	〇	0.4	0.5	1.6～2.4	0.3	2.4～3.1	0.18～0.28	6.3～7.3	0.2	–	残部
	7N01	〇	0.3	0.35	0.2	0.2～0.7	1.0～2.0	0.3	4.0～5.0	0.2	V 0.1 Zr 0.25	残部