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ステンレスは錆びる?防止対策は?

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ステンレスってどういったもの?

自動車の車体部品や工場で使う設備・装置や、一般の家庭では台所の流し台や包丁など、錆びては困るところに使われているのがステンレスです。

ステンレスは鉄にニッケルやクロムを加えた合金で、正しくはステンレス鋼といい、「さびない鋼(はがね)」という意味の名前なんです。

ステンレスは錆びないんじゃない!錆びにくいだけです!!

ステンレスの種類はたくさんありますが、鉄に18%のクロムと8%のニッケルを加えた、18-8ステンレス鋼(SUS304)や、鉄に13%のクロムだけを加えた13クロム鋼(SUS410)が代表的なものです。

ニッケルは不動態被膜をより形成しやすくする働きをするので、この場合はSUS304の方が錆びにくいのです。

このようにステンレス鋼にも錆びにくいものから錆びやすいものまであるので「さびない鋼(はがね)」といより「さびにくい鋼(はがね)」と表現するのが正しいですね。

実際に錆びるまでの様子がわかります!

ステンレスはなんで錆びにくの?

では、なぜステンレスは錆びにくいのか?

それは、含有するクロムに起因します。

ステンレスは、錆びの原因となる鉄(Fe)よりも先にクロム(Cr)が空気中の酸素と結合(=酸化)し、数nmの非常に薄い不動態皮膜(保護皮膜)を形成して、全体を包み込みます。不動態被膜によって鉄が酸素と結合しようとする(錆びる)のを防いでくれます。

酸化は常に起こる現象。。。

要するに、常に酸化しているんです。しかし、それは鉄ではなくクロムなだけで、鉄が酸化したら「サビ」になるがクロムが酸化しても「サビ」にはなりません。

さらにそこにニッケルがあると不動態被膜をより形成しやすくする働きをするので錆びにくいということなるのです。

アルミニウムも同じ理由で錆びにくい!

このように酸化被膜を形成しサビに強い金属は他にもあります。普段よく目にするものであればアルミニウムがそれに当たります。

使い方や環境によって錆びやすくなるステンレス

この錆びにくいステンレスでも使い方によってはすぐに錆びてしまいます。

錆びるかどうかはあなた次第です!

■もらい錆び

もらい錆びとはステンレスの表面に鉄などの金属が付着したまま放置し、その金属が錆びることでステンレス自体も錆びてしまう現象です。

■水分や汚れの付着

ステンレス鋼の表面に水分や汚れが残っていると、その部分に不動態皮膜を形成することができないため、錆びやすい状態となってしまいます。

このように使い方や保管の仕方でステンレスはすぐに錆びてしまします。ステンレスは錆びないのではなく「錆びにくい」だけだということをしっかり理解しておきましょう。

しつこいようですが、錆びにくいだけですよ!

ステンレスの錆びの原因と対策

ステンレスの錆びる原因としてさまざまなものがあります。

■ステンレスの孔食

孔食(こうしょく)とはつぶつぶの穴状(ピットともいう)の腐食のことです。塩化物イオンの濃度が一定の範囲を超えると、不動態皮膜が不安定になるため、海水をはじめ、塩化物が多量に含まれている環境ではすぐに発生してしまいます。そのため、孔食に強いステンレスを使うと言うのもひとつの防止方法ですね。ステンレスの種類によって孔食の発生しにくさを数字であらわした指標(耐孔食指数-PRE-)があるので参考にしてください。

防止対策

一緒に使う材料などは塩化物イオンが出にくい素材を使う。

耐孔食指数が高いステンレスを使う。

■ステンレスの粒界腐食

粒界腐食は、溶接により熱をかけた際に起こります。ステンレスは650℃近辺に加熱すると、表面に炭化クロム(Cr23C6)が浮き出てくることでステンレスの中に含まれるクロムが出て行ってしまい、ステンレスを錆から守る不動態皮膜がうまく形成されなくなる状態のことです。

防止対策

低炭素ステンレス鋼や安定化ステンレス鋼といった粒界腐食を起こしにくい材料を使用する。

■ステンレスの隙間腐食

隙間腐食とは、隙間に起きる特殊な腐食です。酸素の濃度が違う箇所では、酸素濃淡電池作用と呼ばれる電流の流れが発生し、陽極側になった部分(ここでは隙間部分)で腐食が進んでしまう現象です。ただ、隙間といっても数十ミクロンの話ですので見た目でわかる隙間ではありません。

ステンレスの場合では、まず隙間での酸素不足によって不動態皮膜が安定して作られなくなります。そして、隙間以外の不動態皮膜の部分と酸素濃度が異なることになり、酸素濃淡電池作用が働き腐食が進行します。

防止対策

隙間ができないようにする。

キレイにする。汚れやゴミを微細なものも含めて除去する。

ステンレスと合わせて相手側にも耐隙間腐食に優れた材料を使う。

環境等で錆びやすくもなるステンレスですが、使い方を工夫すれば錆びずに使い続けることもできます。原因のなかにもあったようにキレイに使うことで大半の錆びは抑えることができます。また、どうしても環境に依存する場合はメッキやコーティングなどの表面処理も有効な対策の1つなので事前に原因がわかれば何も心配いりません。

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