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SUS440Cとは
SUS440Cはマルテンサイト系のステンレス鋼です。このステンレス鋼は焼入焼戻しによって高い硬度を得ることができます。熱処理後のステンレス鋼ではもっとも硬いステンレス鋼になります。「硬くて錆びにくい」という特徴の材料になります。ステンレス鋼の中では非常に加工が困難材料となり、SUS440Cの快削材としてSUS440Fという鋼種も存在します。
C | Si | Mn | P | S | Ni | Cr | Mo | |
SUS440C | 0.95~1.20 | 1.00以下 | 1.00以下 | 0.040以下 | 0.030以下 | 0.60以下 | 16.00~18.00 | 0.75以下 |
SUS440A、SUS440B、SUS440Cの違い
大きな違いは炭素の含有量になります。炭素の含有量が多いSUS440Cの硬度が最も高くなります。この炭素量によって硬度と靭性に差がみられます。ただ、SUS440Cは流通量は多く、安易に入手できますが、SUS440AとSUS440Bは流通量も少なく入手が困難な場合があるので注意が必要です。
硬度:SUS440C>SUS440B>SUS440A
靭性:SUS440A>SUS440B>SUS440C
焼き入れ焼き戻し後硬度(HRC) | |
SUS440A |
54以上 |
SUS440B | 56以上 |
SUS440C | 58以上 |
SUS440A、SUS440B、SUS440Cの成分表
C | Si | Mn | P | S | Ni | Cr | Mo | |
SUS440A |
0.60~0.75 | 1.00以下 | 1.00以下 | 0.040以下 | 0.030以下 | 0.60以下 | 16.00~18.00 | 0.75以下 |
SUS440B | 0.75~0.95 | 1.00以下 | 1.00以下 | 0.040以下 | 0.030以下 | 0.60以下 | 16.00~18.00 | 0.75以下 |
SUS440C | 0.95~1.20 | 1.00以下 | 1.00以下 | 0.040以下 | 0.030以下 | 0.60以下 | 16.00~18.00 | 0.75以下 |
SUS304とSUS440Cの違い
SUS440CはSUS304と比べて非常に硬く強度が高い材料になりますが、炭素量が多いため錆びやすい特徴があります。錆びやすいと言ってもステンレス鋼ですので他の材料に比べて錆びにくいことには変わりません。ステンレス鋼の特徴である錆びにくさを最大限に活かしたい場合には適していませんが、硬さと錆びにくさを両立したい場合には最適の材料になります。
SUS440Cは金型の材料として最適な材料です。